ホーム選・和菓子職最新回開催報告書

選・和菓子職

開催報告

和菓子は千年を超える歴史の中で育まれ、日本の食文化を代表するもののひとつとして存在する民族の味である。
和菓子の製造技術は、原材料の特性を活かしつつ、様々な応用と変化を求められるもので、技術の伝承と向上発展は和菓子産業の振興発展にとって重要である。
しかしながら、昨今の和菓子製造技術は、製造機械の発達により手づくりの個性ある技術に停滞が見られることや、技術習得のために技術者が就業店間を移動することが減少し、技術がその企業内にとどまる傾向が見受けられるなど、技術の向上が充分に果たされていないなどの問題がある。
技術力の向上には、技術の伝承や指導を効果的に行うことが求められるが、加えて技術者自身の向上意欲を高めることが重要であり、同時に技術力を正しく公平に評価すると共に各人において目標となり得るような認定制度を構築することが求められるところである。
そのため、全国を統一して技術を評価し、権威を持って技術の水準を認定すること、及び優れた伝統的技術を持つ者を認定することを通じて、技術の振興と発展に役立てることを目的として「選・和菓子職」優秀和菓子職部門及び伝統和菓子職部門を開催している。
優秀和菓子職部門においては今回の第6回開催までの間に全国36都道府県より延べ617名の応募者があり、厳正な審査の結果90名の優秀和菓子職を認定し、今回第1回開催となった伝統和菓子職部門においては6名の伝統和菓子職を認定した。

[1]第1回 伝統和菓子職部門

全国和菓子協会では、平成19年より「選・和菓子職」優秀和菓子職部門を開催し、和菓子製造技術力の認定を行い、過去5年間で78名の優秀和菓子職を認定した。
優秀和菓子職の認定に当たっては、第1次審査において焼き菓子、蒸し菓子、創作的な棹物菓子の製品審査を行い、第1次審査通過者による最終審査は、当日発表される課題に基づく生菓子づくりを審査することによって行われ、主に手技により製造される煉り切りやこなし等の生菓子を評価の対象としてきた。
一方、和菓子には優秀和菓子職認定に含まれていない、羊羹、最中、蒸し菓子、焼き菓子、流し物、打ち物、押し物、その他、普遍的にして伝統的な和菓子が数多くあり、その製法を守り、優れた技術を有する技術者が多数存在している。その技術者の方々は、日本の誇る食文化のひとつである和菓子の伝統を守り、和菓子振興という面でも大きな役割を担っている。
それらの優れた技術者の皆さんの技術力を認定することは、和菓子の多岐にわたる商品製造技術の向上と伝承、和菓子文化の健全なる発展に資するものと期待される。
そのため、「選・和菓子職」において伝統和菓子職部門を創設し、優秀和菓子職部門と合わせて実施することにした。

【推薦の状況】

今回、全国各地より8名の推薦があった。

【審査委員】(順不同・敬称略)
委員長 黒川光博 (全国和菓子協会会長)
副委員長 細田 治 (東京和生菓子商工業協同組合理事長/
 全国和菓子協会副会長)
委員 岡本楢雄 (全国和菓子協会副会長)
武田修一 (全国和菓子協会副会長)
新谷真弘 (全国和菓子協会副会長)
細田安兵衛 (全国和菓子協会名誉会長)
戸塚義正 (全国菓子研究団体連合会名誉会長/
 日本菓子協会東和会名誉会長)
清水正幸 (全国菓子研究団体連合会副会長/名和会会長)
伊丹二夫 (全国菓子研究団体連合会顧問)
藪 光生 (全国和菓子協会専務理事)
【審査の状況】

平成24年7月24日(火曜日)東京・浜松町東京會舘において審査会を開催し、審査委員による書類選考と当該和菓子の試食、製法等の審査により行われた。

【審査の方法】

① 認定候補者が製造する商品が、伝統和菓子職認定に相応しい商品であるか、その製造する
  菓子が、その製法も含めて一定の水準に達しているかを形状、色彩、味などの視点で
  審査した。

② 当該認定候補者が伝統和菓子職に相応しい優れた技術と経験及び人格を有しているかを
  審査した。

③ 当該認定候補者がその商品の製造技術の伝承や後継者の育成に尽力しているかを審査した。

審査委員による審査風景
審査委員による審査風景

【認定者】

審査委員会において、厳正に審査をした結果、以下の6名が伝統和菓子職として認定された。

氏  名 勤務先名 認定菓子品目 菓子名
諸江吉太郎 株式会社落雁諸江屋 【 押 し 物 】 加賀宝生
和田 雅孝 株式会社玉嶋屋 【 羊  羹 】 玉嶋屋の本煉羊羹
染谷 武徳 株式会社虎屋 【 羊  羹 】 夜の梅
石川 久行 有限会社鉢の木七冨久 【 半生菓子 】 鉢の木
塩谷 五男 株式会社塩五 【 蒸し菓子 】 村雨
梶野  清 株式会社梶野園 【 最  中 】 纒最中

【認定証の授与】

平成24年8月28日(火曜日)午後4時より東京・東京製菓学校・講堂において優秀和菓子職認定と併せて、授与式を開催しそれぞれに伝統和菓子職 認定証(盾)及び伝統和菓子職 バッジが授与された。

伝統和菓子職 認定者
伝統和菓子職 認定者

伝統和菓子職認定者への認定証とバッジの授与
伝統和菓子職認定者への認定証とバッジの授与

【表彰】

伝統和菓子職と認定された者には

伝統和菓子職 認定証
バッジ
が授与された。

伝統和菓子職認定証、及び、バッジ(意匠登録済)
伝統和菓子職認定証、及び、バッジ(意匠登録済)

※伝統和菓子職認定者に授与された認定証、及び、バッジの伝統和菓子職エンブレムは
 意匠登録済みのもので伝統和菓子職以外は身に付けることができない。

[2]第6回 優秀和菓子職部門

応募の状況

今回、28都道府県より83名の応募があった。
県別の応募状況は以下のとおり

県名 応募者 県名 応募者 県名 応募者
北海道 3 石川県 - 岡山県 2
青森県 1 福井県 1 広島県 3
岩手県 - 山梨県 1 山口県 -
宮城県 - 長野県 - 徳島県 -
秋田県 - 岐阜県 1 香川県 1
山形県 1 静岡県 6 愛媛県 -
福島県 3 愛知県 4 高知県 -
茨城県 - 三重県 2 福岡県 -
栃木県 1 滋賀県 3 佐賀県 1
群馬県 1 京都府 1 長崎県 -
埼玉県 4 大阪府 5 熊本県 -
千葉県 - 兵庫県 2 大分県 -
東京都 21 奈良県 - 宮崎県 -
神奈川県 3 和歌山県 2 鹿児島県 4
新潟県 1 鳥取県 - 沖縄県 -
富山県 4 島根県 1    
  合計 83名
認定委員、審査委員

認定委員(敬称略・順不同)

委員長 黒川光博 (全国和菓子協会 会長)
委員 緑川廣親 (トックブランシュ国際倶楽部 会長
 京王プラザホテル名誉総料理長)
堀越希実子 (歌舞伎 第十二代 市川團十郎様令夫人)
勅使河原茜 (草月流 第四代家元)
田村能里子 (洋画家・壁画家)
髙井和明 (全日本洋菓子工業会 理事長)
細田安兵衛 (全国和菓子協会 名誉会長)

審査委員(敬称略・順不同)

委員長 西尾智司 (全国菓子研究団体連合会 会長)
副委員長 石川忠久 (東和会 会長)
藪 光生 (全国和菓子協会 専務理事)
委員 石川久行 (群馬県・鉢の木七冨久 店主)
大江克之 (松江松和会 副会長)
折原正春 (日本菓業振興会 会長)
梶山浩司 (東京製菓学校)
加藤政行 (東和会 総務部長)
鎌田克幸 (全国菓子研究団体連合会 事業部長)
北川玉一 (名和会 副会長)
小竹睦夫 (全国和菓子協会 理事)
佐々木勝 (東京和菓子協会 技術顧問)
清水利仲 (名和会 技術部長)
高家昌昭 (京都・塩芳軒 店主)
苗井満輝 (滋賀二六会 会長)
西村欣祐 (大阪二六会 副会長)
羽鳥 誠 (日本菓業振興会 副会長)
審査の状況
第1次審査

審審査は厳正、公平、公正を第一義に考え、応募者の氏名、所属などは伏せて、審査番号を付して、全て審査番号により審査を行った。

1. 開催日及び会場

開催日 :
平成24年7月27日(金曜日)
会 場 :
東京製菓学校
東京都新宿区高田馬場1-14-1

2. 審査の方法

応募者より以下の3種類の製品の提出を求めた。

(1)「薯蕷饅頭」白無地、丸腰高、中餡は小豆こし餡を使用した40g程度の製品を5個
(2)「栗饅頭」仕様は自由、40g程度の製品を5個
(3)「浮島を使用した創作性のある棹物」4cm×15cm×高さ3cm程度の製品を2本

3. 各審査委員が審査項目ごとに各審査品について採点した後に集計し、
  合計点を出した上で、点数上位の者から順に1次審査通過者とした。

審査委員における審査項目と配点は以下のとおり

総合的判断
10点
10点
合計
20点

審査の結果、獲得点数上位の者から39名が最終審査に進んだ。

製品審査風景
製品審査風景(審査番号のみで審査)

最終審査

1. 開催日及び会場

開催日 :
平成24年8月28日(火曜日)
会 場 :
東京製菓学校
東京都新宿区高田馬場1-14-1

開会式で挨拶する 全国和菓子協会 黒川光博会長
開会式で挨拶する 全国和菓子協会 黒川光博会長

2. 審査の方法

最終審査は応募者の製造実技作業の状態を審査した他、以下により行われた。
製造実技の課題は、事前に通知された課題1点と当日審査会場において発表された課題4点を「煉切」もしくは「こなし」、又は両方の製法を用いて各5個(1個45g程度)を調和良く製造することとした。

(1)事前通知の課題
『立』(平成25年新年歌会始の御題)をテーマとした生菓子1点5個を製造する。
(2)当日会場で発表された課題
『御題菓子【立】と調和する【冬(正月を含む)】を表現する生菓子4種類』それぞれについて各5個を製造する。
(3)製造時間は2時間とした。

課題の生菓子5種類各5個を製造後、製品審査会場に所定の方式に従って提出させ、審査委員、認定委員が製品審査を行った。
審査委員における審査項目と配点は以下のとおり

形状(包餡の状態を含む)
10点
色調(5種類全体の調和を含む)
10点
10点
合計
30点

審査委員による製品審査風景
審査委員による製品審査風景

審査委員が審査項目ごとに各審査品について採点した後に集計し、17名の審査委員の合計点を出し、減点行為、製造された製品の状況等について意見を交わした上で、点数が上位の者から認定候補者とすることとし、審査委員会において認定の水準とすべき点数について議論し、認定候補者を認定委員会に諮問した。
認定委員においては各審査品について、審査委員と同様に製品審査を行った上で、審査委員会から諮問のあった認定候補者について審議し、以下の12名が優秀和菓子職として認定された。

竹 内   勉 (新潟県) 大 塩 和 宏 (東京都) 利根川 温 実 (東京都)
島 田 省 吾 (広島県) 中 西 大 悟 (静岡県) 神 山 典 之 (福島県)
濱 田 浩 二 (香川県) 引 網 康 博 (富山県) 船 田 雅 一 (東京都)
山 川   誠 (滋賀県) 安 西 雅 希 (東京都) 浅 川 敏 彦 (山梨県)

優秀和菓子職認定者代表にエンブレム付ユニフォームの授与
優秀和菓子職認定者代表にエンブレム付ユニフォームの授与

これにより、第1回~第6回の認定者は90名となり、県別の認定者数は下表のとおりとなった。

県名 応募者 県名 応募者 県名 応募者
北海道 - 石川県 - 岡山県 -
青森県 1 福井県 - 広島県 3
岩手県 - 山梨県 2 山口県 -
宮城県 - 長野県 - 徳島県 -
秋田県 1 岐阜県 3 香川県 1
山形県 - 静岡県 6 愛媛県 -
福島県 1 愛知県 1 高知県 -
茨城県 1 三重県 1 福岡県 -
栃木県 - 滋賀県 4 佐賀県 -
群馬県 3 京都府 - 長崎県 -
埼玉県 5 大阪府 7 熊本県 -
千葉県 3 兵庫県 1 大分県 -
東京都 30 奈良県 1 宮崎県 -
神奈川県 5 和歌山県 - 鹿児島県 2
新潟県 1 鳥取県 - 沖縄県 -
富山県 1 島根県 6    
  合計 90名
表彰

優秀和菓子職と認定された者には

優秀和菓子職
認定証
エンブレム付ユニフォーム
バッジ

が授与された。

※優秀和菓子職認定者に授与された認定証、ユニフォーム、バッジの優秀和菓子職
 エンブレムは意匠登録済みのもので優秀和菓子職以外は身に付けることができない。

優秀和菓子職のエンブレムとバッジ(意匠登録済)
優秀和菓子職のエンブレムとバッジ(意匠登録済)

  • 認定者用ユニフォーム
    認定者用ユニフォーム
  • 優秀和菓子職認定証
    優秀和菓子職認定証

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