和菓子を味わっていただくとき、まずはおいしく召し上がっていただくことが一番ですが、ちょっとした工夫で趣も変わります。
夏に葛の菓子をお出しするとき、ガラスの器を冷蔵庫で1~2時間冷やしたものを使ってみてはいかがでしょう。葛の菓子は、冷蔵庫で冷やすと葛が硬くなってしまうため、常温で召し上がっていただくもので、見た目の涼感を楽しむ和菓子です。冷蔵庫で冷やした器を使うときも、庭の笹の葉などを下に敷き、菓子が皿に直に触れないようにします。「わぁ、涼しそう」と、お客様の喜ぶ顔が目に浮かんできます。
どんなものでも、要はおもてなしの心があれば、味わい方のアイデアもあれこれと浮かんできます。たとえば、大福を菓子皿にのせて、菓子楊枝をつけておだしする。そうすると、大福は菓子楊枝ではきれいに切れないので、食べた時に大変汚らしくなってしまう。
大福は、やっぱり手で持って、パクッと食べていただくのがおいしいですね。ということは、大福をおだしする時のおもてなしの心は、お絞りを用意することになります。
そのように考えておもてなしの心を表すと、和菓子の味わいが一層広がっていきます。
また、和菓子とお茶といえば切っても切れないほど相性のよい関係ですが、実はコーヒーや紅茶も和菓子とよく合います。小豆餡のものはほとんど合いますし、香ばしい最中や焼き饅頭、落雁や干菓子も合います。
また、お客様をお招きした折に、食後に強い洋酒を飲まれる機会があったら、一緒に羊羹をお出ししてみるのはいかがですか。そのときには、厚切りではその場に似合いませんから、1センチほどの角切りにして、クラッシュアイスの上にのせ、楊枝をさしてお出ししてみてください。ウイスキーやブランデーにも和菓子はよく合います。意外なおつまみに、お客様との話もはずむことでしょう。
和菓子といえば、お茶(日本茶)と共に召し上がるのが自然のように思いますが、しかし、それにとらわれることなく、様々な飲み物と組み合わせてみることも楽しいものです。ぜひ様々な味わい方を試してみてください。